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ギター大計画(その1)



大計画とは?

 ピックアップ付きのガットギター(いわゆるエレガット)を使い始めて、もう15年くらいに なります。ライブではエレガット、録音では普通の(ピックアップなしの)ガットギター を弾いていますが、レコーディングされた自分の音を聴くにつけ、 ピックアップなしの(マイクで収音された)ギターの音はやはり魅力があり、 ライブでもなんとかこの音色を再現できないものかという思いが募ります。
 その思いから、EDMを使ってみたりしましたが、
という理由で挫折しました。
 楽器屋に立ち寄ったときも「もっと生音にちかいピックアップの音」 を持った楽器がないか、チェックしているのですが、 市場に出回っているほとんどの機種を試奏しましたが、 どれを取っても現在使っている楽器を大きく越えるものはありません。
 しかたがない、「後付け」か!
 ピックアップがついていない楽器にピックアップをつけるという作戦です。
しかしこれだけのことが何故「大計画」なのか?それはなかなか困難なチェックポイントが あるソリューションだからです。

チェックポイント1.ベースになる楽器をどうする?

後付けピックアップシステムは というリスクがあり。あまり貴重な楽器(私だったらアントニオマリン)に 取り付けるのはためらわれます。
 もうひとつ大事なこととして、
「生でよい音の楽器が必ずしもピックアップをつけてアンプからよい音を得られるとは限らない」
ということがあります。これは不思議で皮肉なことではあります。確かに、エレアコでは かなり高価な楽器でも裏板にはわざと合板をつかい「鳴り」を抑える場合が多いようです。
(この現象に関する考察
あらかじめピックアップがついているエレアコであれば、最終的な出音が確認できますが、 後付けの場合、とりあえず生音だけでベース楽器を選ぶ必要があるので、このパラドックスは厄介です。 (鳴らない楽器ならよいのか?といえばそう単純な問題でもない)

チェックポイント2.ピックアップはどうする?

 後付けのピックアップというのも調べてみるとゴマンと種類があります。方式は大別して
  1. ブリッジサドルに埋め込み
  2. 表面板の裏に貼り付け
  3. ボディー内部にマイクをセット
という3種類ですが、実際には1,2 あるいは 1,3 などの複数を組み合わる場合もあり どの方式にするかということだけでも複雑です。そして同じような方式でも各メーカーそれぞれ 音が違います。 またボディと同じくピックアップも最終的な音を確認することが難しいという問題もあります。

チェックポイント3.サウンドシステムはどうする?

 今、私が使っているシステムは基本的には

 エレアコギター
  ↓
 プリアンプ(BOSS AD5)
  ↓
 ギターアンブ(AER Bingo) And/Or 会場のPAシステム

というシンプルな構成です。
この度の大計画の一環でこのセットを楽器屋に持っていって 弾き比べをしたら、店員さんにいきなり、「AD5プリアンプを使うと 音が細くなる」と指摘を受けました。はああああ、そうですか。俺は結構よい プリだと思っていたんだけど...
グレードアップのためにこの辺も見直すとなるとタイヘンだなあ。

それでもやるぜ...

 いずれにしても現在のトータルな出音はかなりいい線まで煮詰まっていますので、 それを超えるということは基本的にハードルが高い!この計画もうまく進むかは未知数。 長い話になるかも知れませんが、なるべくリアルタイムでレポートします。

<続く>
考察1−生音がよい楽器がピックアップをつけてもよい結果が得られない原因
 よい楽器の特徴として「入力に対して敏感に反応する」ということがあります。 入力というのはギターで言えば弦を爪弾くこと。繊細なタッチには繊細な音、 強力なタッチには強力な音が出てくれるのがよい楽器のひとつの条件です。 しかしこのことはフィードバック(スピーカーから出る音をピックアップが拾ってしまい、 「ピーーーッ」とか「ブーーーン」とかいうハウリングがおきる)しやすいということに 直結します。とにかく楽器が振動しやすくできているので、スピーカーからの振動に対しても 当然敏感になるわけです。これはライブ演奏の現場では非常に大きな問題となります。
 もうひとつのよい楽器の条件「よく鳴る」というのも問題です。生楽器の音は ある程度の距離を置いて聴きますから、そこでちょうどよい音は、楽器のそばでは 必ずしもよくないことがあります。(そばで聴くとちょっとガツガツした音が距離を おくとよく聞えることが多いようです)そういうわけで「鳴る楽器」というのは ピックアップで拾うと「きつい」音になる傾向があるようです。


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