Essay

「グルーブについて」(音楽哲学の続き)


「ジョージ大塚の音楽哲学」続きです。
前回の話は
のような矛盾をどう解消するか?というところまででしたが、 この事についてある方から
と言えば矛盾しないのでは。

というコメントが寄せられました。
書こうとしてたこと先に書かれちゃいましたね。
でそうなると、
「発せられるべきタイミングとはなにか?」

「いつクロック(ジャズでは演奏者内のクロックですが) に対してジャストに弾いて、いつ弾くべきでないか」
ということが本質的な問題となります。

そこから先は超具体的な話になるので一応話を 「4ビートのジャズ」に限定します。

さて、ジャズを弾く上で大事とされているのが、 「アフター・ビート」の感覚です。これがまた説明しづらい 感覚なんですが、一言で言えば「クロックに対して少し 遅れて弾く」ということです。
ジョージさんに出会ってから最初の6か月位は、毎回
「お前の演奏はオン(ジャスト)だ、アフターに弾け」
と言われつづけました。しかし、ゆったり弾こうとすると 単に遅れてしまうだけで、こんどは、
「シャープに弾け」「スピード感がない」
と言われてしまいます。さらに
「(拍の)裏の音符はシャープに、アタマの音符はゆったり」 なんて言われると、どうしていいかさっぱりわかりません。
(この言葉にはある程度深い真実が含まれていますが、とりあえず 例えば打ち込みで、この通りに調整したら、まず聞けたもんじゃ ありません)
結局、いろんな人の「いい感じ」の演奏を聞いて研究するしか ないのですが、グルーブってのは体感はできても、研究できるような シロモノじゃありません。
大体それぞれのプレイヤーが個性的なアフタービートの感覚 を持っているので、一般論も出来ないわけです。 (オスカー・ピーターソンとハービー・ハンコックじゃまるで 違いますよね)
じゃ自分はどう弾けばいいのか?若い頃の私もずいぶん悩みました。 (もちろん今でもいろいろ悩んでますが)
それでも、いくらかつかんだことはあって...

1.ゆったり弾こうとしては(ねらっては)いけない。
2.体でシャープなビートを感じることに集中する。

当たり前すぎる結論ですが....

3.感じているビートに対して気持ちがいいポイントで弾く
(結果的にアフターになっているかもしれない)

ということになります。

話がもとに戻ってしまったようですが、ここでは 2.に最大の力点が置かれるところがミソです。
ジョージさんの口癖
「一番シャープな奴が一番ゆったり弾ける」
は正しかったのか!?という訳です。
それじゃ「気持ちがいいポイント」ってなんだ?ってことで 話は終わりがないですが、この続きはまた次回にでも。


ここまでお読みになった方、どうお考えでしょうか?
よろしかったらご意見お聞かせください。
(この話、さらに続きます)

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