Essay

ソニー・ロリンズを聴く(その1)


 昨日(2005/11/7)、ソニー・ロリンズのコンサートを聴きました。
 ロリンズは中高生の頃からずっと聴き続けている、ジャズサックスの巨匠中の巨匠。 彼の「ビレッジバンガードの夜」というアルバムなどは個人的には 全JAZZアルバムのなかのベスト作品ではないかと思うくらいです。
 ところがそんな彼の生演奏を実は聞いたことがなかったのです。 まったくお恥ずかしい限りの不勉強でした。今回ラストコンサートと言われて、 慌てて聴きに行くなど、まったくファンの風上にもおけません。
 正直なところ、かなりの高齢で、私が熱狂的に聴いた若いころのような演奏は もう聴けないのかもという危惧もありました。  そんな訳ですごく大きな期待はもたず(またしてもファンにあるまじき態度) で開演20分ほど前に会場に着きました。 会場は東京フォーラム。音楽を聴くにはちょっと大きすぎるホールです。 私の席は29列目。ステージとずいぶん遠い。遠視気味、視力1.5の 私の目でもプレイヤーの表情などはほとんど見えそうもありません。 そんな中でロリンズがステージに登場。 その瞬間、観客全員の体温が一気に0.1度ずつ上がり、広い会場が熱気につつまれる。 やっぱり巨匠のカリスマ性はすごい!
 ちょっとリードミスもあったけど、一曲目からロリンズ節全開。うーむ、 さすが!歳の心配なんかしてる場合じゃなかった。で、3曲目位、ロリンズが まさに「フレーズ一閃」という感じで吹きはじめたとき、自分の記憶の中の ロリンズの名演の数々がアタマをよぎる。と同時に鼻の奥がつーんとして...
「ええっ、これって涙?!」

(続く)

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