Essay

蕎麦


 私、麺類はなんでも(蕎麦、うどん、きしめん、スパゲッティ、ラーメン、ビーフン等々) 好きですが、一番よく食べるのが蕎麦(日本そば)です。「とにかく蕎麦が食いたい」 状況に陥りやすい私は、「立喰いそば」「駅そば」のお世話になることも多く、 「そばグルメ」「そば通」とはとてもいえません。
 それにしても、おいしい蕎麦屋というのはまた格別の楽しみですね。 そこで私の最もお気に入りの店、神田「まつや」をご紹介します。
 ご紹介といっても、あまりにも有名なお店なので今更ではありますが、 ここのよさは、あくまで「普通の町の蕎麦屋」であることに尽きます。 蕎麦の名店というと、気取った、あるいは敷居の高いというイメージのところも 多いですが、ここは「蕎麦は気軽な食物である」という姿勢を崩していません。 大正時代からずっと使われている建物も今となっては文化財級ですが、 もともとは「普通の蕎麦屋の建物」だったのでしょう。
 出される蕎麦も、なんらビックリするようなものではなく、当たり前の蕎麦が 当たり前にうまいというものです。そのせいかネットのグルメ批評などでは、 「とりたてて言う程の店ではない。もっとうまい蕎麦屋はたくさんある」 というように書かれたりすることもありますが、私に言わせれば、その普通さが魅力なのです。 夜は早くに閉まってしまうし、いつ行っても混んでいるので、なかなか食べられませんが、 ここで一杯飲ってから蕎麦をすすると「東京に住んでてよかった」としみじみ 思います。
 場所は秋葉原から程近い神田須田町の交差点のちょいと裏です。 余談ですがこの一角はうまい食べ物屋が多くあり (あんこう鍋の「いせ源」「神田やぶそば」など)、 「味のトライアングル」と呼ばれています。
「まつや」お店情報

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